着物でタクシー?快適な乗り方からマナーまでを幅広く調査!

日本古来の伝統美である着物を纏って外出する際、多くの人が直面するのが移動手段の問題です。普段履き慣れない草履や、帯の結び目、そして崩したくない美しい着付け。これらを維持しながら目的地へ向かうには、公共交通機関よりもプライベートな空間を確保できるタクシーが非常に便利です。しかし、着物に慣れていない場合、どのようにタクシーへ乗り込めば良いのか、あるいは車内でどのように過ごせば着崩れを防げるのかといった不安がつきまといます。

本記事では、着物姿でタクシーを利用する際のテクニックや注意点、そして乗務員へのマナーに至るまで、徹底的に調査した内容を詳しく解説します。


着物でのタクシーの乗り方と基本の動作

着物姿でタクシーを利用する際、最も神経を使うのが「乗降時」の動きです。洋服とは異なり、着物は足捌きが制限されるだけでなく、袖や裾がドアに挟まったり、座席に深く座りすぎて帯が潰れたりといったリスクがあります。まずは、スムーズかつ優雅に見える乗り方の基本を確認しましょう。

1.乗車前の準備と裾の扱い

タクシーが到着してから慌てて乗り込むのは、着崩れの原因となります。車が停車する前に、まずはバッグを片手にまとめ、もう片方の手で着物の裾を軽く整えましょう。

着物は階段の上り下りや車への乗り降りの際、どうしても裾が広がりやすくなります。特に、上前(うわまえ)がはだけてしまうと、だらしない印象を与えるだけでなく、長襦袢が露出してしまいます。乗る直前に右手で上前を軽く押さえ、足元が乱れないように意識することが、美しい乗り方の第一歩です。

2.お尻から入る「逆算」の動作

着物で車に乗り込む際の鉄則は、「頭から入らないこと」です。洋服のように頭から先に車内へ滑り込もうとすると、裾が大きく割れてしまい、膝が丸見えになる恐れがあります。

正しい手順は、まず車の入り口に対して背を向けるように立ち、お尻から座席に腰を下ろす方法です。座席の端に浅く腰を掛けた後、両足を揃えたまま、くるりと体を回転させて車内へ足を入れます。この「お尻→回転→足」の順番を守るだけで、裾の乱れを最小限に抑え、上品な動作を実現できます。

3.袖を忘れない心掛け

着物の特徴である長い「袖」は、非常に汚れやすく、かつ挟まりやすいパーツです。車内に乗り込む際、袖をダラリと下げたままにしていると、ドアに挟んだり、タイヤの跳ね上げた泥が付着したりすることがあります。

乗り込む瞬間は、左右の袖を重ねて腕に掛けるか、膝の上にまとめて持つようにしましょう。特に左側の袖は、ドアを閉める際に巻き込まれやすいため、完全に車内に入るまでしっかりと手元で保持しておくことが重要です。

4.頭上の空間への意識

タクシーの車種によっては、天井が低い場合があります。着物姿では、髪型をアップにセットしていることが多いため、不用意に乗り込むと髪飾りが天井に当たって崩れたり、最悪の場合は髪型そのものが乱れてしまったりします。

お尻から座った後、体を回転させて中に入る際は、少し頭を低く保ち、天井との距離を意識しましょう。慣れないうちは、空いている手で軽く頭の上をガードしながら乗り込むのも一つの手段です。


着崩れを防ぐタクシーでの過ごし方と降り方

無事に乗車できた後も、油断は禁物です。タクシーの走行中は揺れが発生しますし、座り方一つで帯の形が変わってしまうこともあります。目的地まで美しい姿を保つための車内での過ごし方と、スマートな降り方について深掘りしていきます。

1.浅く腰掛けて帯を守る

着物で最も繊細なパーツの一つが、背中の「帯」です。お太鼓結びなどは、背もたれに深く寄りかかってしまうと、中の芯が折れたり形が潰れたりしてしまいます。

車内では、背もたれと自分の背中の間に拳一つ分ほどの隙間を空け、浅く腰掛けるのが理想的です。もし長距離の移動でどうしても疲れてしまう場合は、背もたれと帯の間にクッションやタオル、あるいは丸めたストールなどを挟むと、直接的な圧迫を避けることができます。

2.手の置き場所と姿勢の維持

走行中は、両手を膝の上で軽く重ねておきましょう。これにより、重心が安定し、急ブレーキやカーブの際にも体が左右に振られにくくなります。

また、足を組むのは厳禁です。足を組むと着物の合わせが大きく開き、シルエットが崩れるだけでなく、膝元から裏地が露出してしまいます。両膝をしっかりと揃え、少し内股気味に意識を持つことで、着物特有の凛とした立ち姿ならぬ「座り姿」を維持できます。

3.降車時のリバースアクション

降りる際は、乗り込む時の動作を逆に行います。

まずは、両足を揃えたまま、体を出口の方へ回転させます。足が外に出たところで、ゆっくりと地面に下ろします。この時、いきなり立ち上がると裾を踏んでしまう可能性があるため、片手でドアのフレームや座席の端を支えにして、ゆっくりと腰を浮かせましょう。車から完全に出るまで袖を片手で持っておくことも忘れないでください。最後に、立ち上がった後に軽く裾を整えれば、完璧な降車となります。

4.忘れ物確認と足元の注意

着物での移動は、普段よりも動作が緩慢になりがちです。降車時にバッグや扇子、手拭いなどを座席に置き忘れていないか必ず確認しましょう。

また、タクシーから降りる場所が未舗装路や雨上がりの路面である場合、草履の裏が濡れたり泥がついたりすると、その後の歩行で裾を汚す原因になります。降りる場所の状況を事前に確認し、必要であれば少し綺麗な場所で停めてもらうよう運転手に依頼するのも賢い方法です。


着物でタクシーを利用する際のマナーと配慮

着物を着ているというだけで、周囲からは「日本の文化を嗜む人」という視線で見られることが多いものです。タクシーを利用する際も、一人の乗客として、そして着物を愛する者として、スマートな振る舞いを心掛けたいものです。

1.乗務員への事前申告と配慮

タクシーに乗り込む際、「着物を着ているので、ゆっくり乗り込みます」と一言添えるだけで、運転手の対応は変わります。乗務員も、着物客が裾や帯を気にしていることを理解すれば、無理に急かしたり、急発進したりすることを控えてくれるでしょう。

また、荷物が多い場合は、無理に自分で抱え込まず、トランクの利用をお願いしましょう。着崩れを最小限にするためには、自分自身の動きを減らすことが肝要です。

2.汚れに対するマナー

着物は非常に高価でデリケートなものです。しかし、タクシーもまた、乗務員にとっては大切な仕事道具です。雨の日などに、泥だらけの草履で車内を汚さないよう、乗り込む前に軽く足を払うなどの配慮が必要です。

また、着物から落ちる可能性のある装飾品(かんざし等)が座席の隙間に落ちないよう注意を払いましょう。万が一、車内を汚してしまった場合は、正直に伝えて謝罪するのが大人のマナーです。

3.支払い時のスマートな動作

目的地に到着した際の支払いは、できるだけスムーズに行いたいものです。着物の袖は、手を伸ばすと大きく捲れ上がり、腕が露わになってしまいます。財布を取り出す際は、もう片方の手で袖口を軽く押さえる「添え手」を意識しましょう。

最近ではキャッシュレス決済が普及しているため、スマートフォンやICカードをあらかじめ取り出しやすい場所に持っておくと、袖を大きく動かすことなくスマートに決済を完了できます。


着物でのタクシー移動に関するまとめ

今回は着物のタクシーでの乗り方についてお伝えしました。以下に、今回の内容を要約します。

着物のタクシーでの乗り方についてのまとめ

・乗車前に裾を整え右手で上前を軽く押さえておく

・タクシーの座席には背を向けてお尻から先に腰掛ける

・お尻を支点にして両足を揃えたまま回転して車内に入る

・長い袖はドアに挟まないよう腕に掛けるか膝上にまとめる

・髪型や髪飾りが天井に当たらないよう頭上の空間に注意する

・走行中は帯を潰さないよう背もたれに寄りかからず浅く座る

・帯の形を維持するために背中と椅子の間に隙間を作る

・両膝を揃えて座り急な揺れに備えて両手を膝に置く

・降車時は両足を揃えて回転させ地面に足を下ろしてから立つ

・立ち上がる際に裾を踏まないよう片手で支えを利用する

・乗務員には着物を着ている旨を伝えゆっくり動く了承を得る

・支払いの際は袖口を押さえる添え手を忘れないようにする

・車内を汚さないよう雨天時は草履の汚れを落としてから乗る

・キャッシュレス決済を活用して最小限の動きで支払いを済ませる

・降車後は速やかに裾と帯の状態をセルフチェックする

着物での移動は少しの工夫と意識で、格段に快適で優雅なものになります。タクシーを上手に活用することで、長距離の移動も着崩れを気にせず楽しむことができるでしょう。今回ご紹介したポイントを参考に、ぜひ着物での外出をより一層素敵な思い出にしてください。

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