和装を楽しむ上で、多くの人がハードルに感じるのが「着付け」と「メイク」です。着物を着る機会は、結婚式や成人式などの冠婚葬祭から、ちょっとしたお出かけや観劇などのカジュアルなシーンまで多岐にわたります。
近年では、YouTubeやSNSの普及により、プロに頼らずに自分自身でこれらを行い、より自由に和装を楽しみたいというニーズが高まっています。しかし、和装には洋装とは異なる独特のルールや美学が存在します。特にメイクにおいては、普段のナチュラルメイクをそのまま和服に合わせてしまうと、顔が着物の華やかさに負けてしまったり、逆に古臭い印象を与えてしまったりすることもあります。
本記事では、着付けとメイクを自分で行うための具体的な手順や、知っておくべきポイント、失敗しないためのコツを徹底的に調査し、まとめました。
着付けとメイクを自分でマスターするための準備と基本手順
着付けとメイクを自分で行う際、最も重要なのは事前の準備です。和装は洋装に比べて工程が多く、一つ一つのステップを丁寧に行うことが全体の完成度に直結します。まずは必要な道具を揃え、全体の流れを把握することから始めましょう。
必要な道具と事前準備のチェックリスト
自分で着付けを行うには、着物や帯以外にも多くの小物が必要です。肌襦袢、裾除け、長襦袢、衿芯、腰紐(3本から5本)、伊達締め(2本)、帯板、帯枕、帯揚げ、帯締めなどが基本セットとなります。これらをあらかじめ使いやすい順に並べておくことで、着付けの最中に慌てるのを防げます。
また、和装メイク用の道具としては、普段使っているファンデーションよりも一段階明るいものや、発色の良い口紅、眉を描くためのアイブロウなどが挙げられます。
和装にふさわしいベースメイクの作り方
和装のメイクで最も大切だと言われるのが、ベースメイクです。洋装ではツヤ肌が好まれる傾向にありますが、着物の場合は「陶器のようなマット〜セミマットな質感」が理想とされます。和装は首元までしっかりと布で覆われるため、顔だけが浮かないよう、首筋まで丁寧になじませる必要があります。
また、着物の質感に負けないよう、カバー力のあるファンデーションを選び、コンシーラーでくすみやシミを徹底的に隠すのがポイントです。
着付けをスムーズに進めるための体型補正
着物を美しく着こなすための最大の秘訣は「体型補正」にあります。洋服は体の凸凹を強調するデザインが多いですが、着物は「筒型」のシルエットが最も美しいとされています。そのため、バストやウエストのくびれをタオルや専用の補正パットを使って埋める作業が不可欠です。この補正を自分で行うことで、着崩れしにくくなり、帯の位置も安定します。
帯結びの基本と自分で結ぶ際の注意点
初心者が自分で行う場合、まずは「名古屋帯」の「一重太鼓」から練習するのが一般的です。自分自身で帯を結ぶ際は、背中の中心がズレやすいという難点があります。合わせ鏡を使い、常に左右のバランスを確認しながら進めることが重要です。
また、最近では初心者向けに「作り帯」を活用したり、前で結んでから後ろへ回す「前結び」という手法も人気を集めています。
着付けとメイクを自分でより美しく仕上げるための応用テクニック
基本をマスターしたら、次は「洗練された印象」を与えるためのテクニックに注目しましょう。和装は伝統的なスタイルを維持しつつも、現代的なエッセンスを少し加えることで、ぐっと垢抜けた印象になります。
着物の種類に合わせたメイクの使い分け
着物には、振袖や訪問着のような「礼装」と、小紋や紬のような「普段着(洒落着)」があります。自分でするメイクも、このTPOに合わせて調整する必要があります。華やかな礼装の場合は、アイシャドウにゴールドやシルバーを取り入れ、リップもはっきりとした赤系を選ぶとバランスが取れます。
一方で普段着の場合は、少しベージュ寄りの色味を使うなど、全体的にソフトな印象に仕上げるのがコツです。
崩れない着付けを維持するためのポイント
自分で着付けをすると、どうしても時間が経つにつれて衿元が緩んだり、おはしょりがシワになったりすることがあります。これを防ぐためには、紐を締める位置と強さを正しく理解することが大切です。特に「腰紐」は、着物の丈を決める重要な役割を持つため、しっかりと(ただし苦しくない程度に)締める必要があります。
また、コーリンベルトなどの便利な和装補助グッズを賢く活用することで、一日中美しい形をキープできます。
ヘアスタイルとトータルコーディネートの考え方
着付けとメイクを自分でする際、忘れてはならないのが髪型です。和装では「うなじ」を見せるスタイルが伝統的に美しいとされています。ショートヘアの方は耳にかけるだけでスッキリ見えますが、ロングヘアの場合はアップスタイルにするのが基本です。
自分でヘアセットを行う際は、夜会巻きコームやバレッタなどのヘアアクセサリーを使い、視線が上に行くようにボリュームを出すと、全体のバランスが整います。
着付けとメイクを自分でする際のポイントについてのまとめ
着付けとメイクを自分でする方法についてのまとめ
今回は着付けとメイクを自分でするについてお伝えしました。以下に、今回の内容を要約します。
| カテゴリー | フォーカスポイント | 和装を美しく仕上げるための具体的なコツと手順 |
|---|---|---|
| 着付けの極意 | 事前の準備と並べ方 | 着物や帯だけでなく小物類を順番通りに並べておくことがスムーズな着付けを完了させる第一歩となる |
| 体型補正とシルエット | タオルやパットを用いて体の凸凹をなくし筒型のシルエットを作ることが和装特有の美しさを生む鍵となる | |
| 着崩れ防止の腰紐 | 腰紐は最も重要な固定ポイントであり緩まないよう適切な位置で締めることが長時間の着崩れ防止に直結する | |
| おはしょりの始末 | 足元から順番に整えていき最後におはしょりのシワを左右に逃がして平らに整えることで洗練された印象になる | |
| 補助道具の有効活用 | 前結び用の帯板など便利な補助道具を活用することで初心者が苦手とする背後の作業を大幅に簡略化できる | |
| 和装の美容 | 質感重視のベースメイク | ツヤを抑えたマットな質感の陶器肌を目指すことで着物が持つ絹の重厚感や光沢と美しく調和させることができる |
| パーツメイクの強調 | アイラインや眉は普段より少し長めに描くことで豪華な着物のボリュームに負けない凛とした顔立ちを作る | |
| 衿汚れの防止策 | 仕上げにパウダーをしっかり叩き込むことで大切な着物の衿にファンデーションが付着するのを物理的に防ぐ | |
| うなじを見せるヘア | うなじを露出させるアップスタイルを基本とすることで着物の衣紋とのバランスが整い和装らしい色香が引き立つ | |
| 格に合わせた色使い | 着物の格に合わせてメイクの華やかさを調節し特に礼装ではハッキリとした色使いで品格のある表情を意識する | |
| トータルチェック | 色の統一感の出し方 | 和装小物やヘアアクセサリーの色を着物の柄の中から一色拾って合わせると統一感のある装いが完成する |
| 背後の仕上がり確認 | 帯を結ぶ際は鏡を駆使して背中心のズレや垂れの長さを慎重に目視し背後のシルエットに妥協しないことが重要となる | |
| 着心地とクッション性 | 長時間着用する場合は補正段階で苦しくならない程度の適度なクッション性を確保しつつ美しさと楽さを両立させる | |
| 全身のバランス感覚 | 和装は洋装とは異なる視点でのバランス感覚が必要であり最後に全身鏡での客観的なチェックを欠かさず行う | |
| 首との境界線の馴染ませ | ベースメイクは首の色との境界線が出ないよう丁寧になじませることで衣紋を抜いた際も自然で美しい仕上がりになる |
以上が、自分で和装を楽しむための主要なポイントとなります。
着付けやメイクを自分で行うことは、最初は難しく感じるかもしれませんが、回数を重ねるごとに自分に似合うスタイルが見つかるはずです。伝統的なルールを大切にしつつ、自分らしいアレンジを加えて、ぜひ日常に和装を取り入れてみてください。
次にステップアップとして、季節に合わせた着物の素材選びや帯の変わり結びについて詳しく調べてみてはいかがでしょうか。


