日本の伝統美を象徴する着物は、袖を通すだけで背筋が伸び、日常を特別なものに変えてくれる魅力があります。しかし、初心者がいざ着物を始めようとすると、揃えるべきアイテムの多さや価格の不透明さに戸惑うことも少なくありません。
「着物本体以外に何が必要なのか」「一式揃えるといくらくらいかかるのか」といった疑問は、多くの初心者が抱く共通の悩みです。着物は洋服と異なり、見えない部分の着付け道具や下着類が着姿の完成度を左右するため、全体像と予算の目安を把握することが重要です。
本記事では、初心者が着物一式を揃える際に知っておくべき基本アイテム、おすすめの素材や購入先、そして最新の価格相場について詳しく調査した結果を解説します。
着物一式を初心者が揃えるために必要な基本アイテムとおすすめ
着物を着用するためには、表面に見える着物と帯だけでなく、土台となる肌着や着崩れを防ぐための小道具が不可欠です。これらを適切に選ぶことが、快適で美しい着姿への近道となります。ここでは、初心者におすすめの具体的なアイテムとその役割を紹介します。
初心者におすすめの着物と帯の組み合わせ
初心者が最初に手にする着物として最もおすすめなのは「小紋(こもん)」です。洋服でいえばワンピースのような感覚で、観劇や食事会、街歩きなど幅広いカジュアルシーンで活躍します。素材は、最初は「ポリエステル」の洗える着物を選ぶと良いでしょう。天候を気にせず外出でき、自宅の洗濯機でケアできるため、管理のハードルが格段に下がります。
帯については、結びやすく汎用性の高い「名古屋帯」が最適です。一重太鼓という基本的な結び方で、カジュアルから少し改まった席まで対応可能です。さらに手軽さを求めるなら、幅が狭く扱いやすい「半幅帯」もおすすめです。帯締めや帯揚げといった小物との組み合わせを楽しむことで、同じ着物でも全く異なる印象を演出できます。
長襦袢と肌着の選び方
着物の下に着用する「長襦袢(ながじゅばん)」は、着物のシルエットを決定づける重要なアイテムです。初心者には、上半身の肌襦袢と下半身の裾除けが一体となった「ワンピースタイプ」の肌着と、その上に重ねる「二部式襦袢」の組み合わせが推奨されます。二部式は丈の調節がしやすく、動作による着崩れも比較的少ないのが特徴です。
長襦袢の衿元には「半衿(はんえり)」を縫い付けますが、あらかじめ半衿がついている「長襦袢セット」を選ぶと手間が省けます。また、衿を美しく立たせるための「衿芯」も忘れずに用意しましょう。これらの下着類も、吸汗性の高い綿素材や、滑りの良いポリエステル混紡など、季節や体質に合わせて選ぶことが快適に過ごすコツです。
着付け道具一式の揃え方
着付けには、表からは見えない数種類の小物が必要です。具体的には、腰紐(3本〜5本)、伊達締め(2本)、帯板、帯枕、コーリンベルトが基本セットとなります。これらはバラバラに購入するよりも、メーカーがまとめている「着付け小物セット」を購入するのが最も効率的で、買い忘れを防げます。
特におすすめなのが、伸縮性のあるゴム製の腰紐や、通気性の良いメッシュ素材の帯板です。これらは締め付け感を軽減し、長時間の着用でも疲れにくい工夫が施されています。また、帯枕は自分の背中の形に馴染みやすいガーゼ包みのものを選ぶと、帯の形が安定しやすくなります。
着物一式を初心者が揃える際の予算と値段の相場
着物を揃える際の費用は、素材や購入ルートによって大きな幅があります。新品の正絹(絹100%)にこだわるのか、手軽な洗える着物を選ぶのか、あるいはリサイクル品を活用するのかによって、必要な予算は劇的に変わります。
洗える着物(新品)で揃える場合の予算
現代の初心者に最も選ばれている「洗える着物」のフルセットであれば、予算の目安は「2万円〜5万円程度」です。ネットショップなどでは、着物、帯、長襦袢、草履、着付け小物まで全て揃って2万円を切る安価なセットも流通しています。
一方、デザイン性や生地の質にこだわったブランド物の洗える着物を選ぶ場合は、着物単体で3万円前後、一式で5万円〜8万円ほど見ておくと、より選択肢が広がります。新品であるため清潔感があり、サイズも現代の体型に合わせて作られているため、失敗が少ない選択肢と言えるでしょう。
リサイクル着物やアンティークを活用する場合の値段
最もコストを抑えられるのが「リサイクル着物」の活用です。この場合の予算目安は「1万円〜3万円程度」です。リサイクルショップや骨董市では、かつて数十万円した正絹の着物が数千円で販売されていることも珍しくありません。
ただし、リサイクル品は一点物であるため、自分の体型に合うサイズを探す手間がかかります。また、古いものは生地が弱っていたり、シミがあったりする場合があるため、状態の確認が不可欠です。着付け小物や肌着類は肌に触れるものなので新品で購入し、着物や帯だけをリサイクルで賢く揃えるのが、賢い初心者の戦略です。
正絹(新品)を呉服店で仕立てる場合の費用
一生ものとして「正絹」の着物を呉服店で自分サイズに仕立てる(マイサイズ)場合、予算は一気に跳ね上がり、最低でも「15万円〜30万円以上」が一般的です。生地代(反物)に加え、裏地代(胴裏・八掛)、お仕立て代(縫製費)がそれぞれかかります。
帯も正絹で合わせ、草履やバッグも職人の手仕事によるものを揃えると、トータルで50万円を超えることもあります。初心者にとっては高額な投資となりますが、自分の体に完璧にフィットする着物は着心地が格段に良く、着付けの上達も早くなります。特別な一着を持ちたいと考えている場合は、信頼できる専門店でじっくり相談することをお勧めします。
着物一式を初心者が揃えるためのまとめ
今回は着物一式の初心者向けの揃え方や、気になる値段の相場についてお伝えしました。以下に、今回の内容を要約します。
着物一式を初心者が揃える際の重要ポイントまとめ
・着物一式は表面の着物と帯だけでなく肌着や着付け小物一式を含めて構成される
・初心者には日常使いしやすく管理が楽なポリエステル製の洗える着物がおすすめである
・着物と帯の組み合わせはカジュアルな小紋と名古屋帯から始めるのが一般的である
・洗える着物の新品フルセットであれば2万円から5万円程度で一通り揃えることが可能である
・予算を抑えたい場合はリサイクル品を活用することで1万円台から一式を揃えられる
・正絹の着物を新調する場合は仕立て代を含めて15万円以上の予算を見込む必要がある
・着付け小物はバラで購入するよりもセット販売されているものを活用すると効率的である
・長襦袢は着姿の美しさを左右するため自分の体格に合ったものを選ぶことが重要である
・和装下着は洋服用ではなく胸を平らに抑える和装専用のものを用意すると着姿が整う
・リサイクル品を購入する際は身丈や裄丈が自分のサイズと合っているか必ず確認する
・草履やバッグなどの履物や鞄も着物の格に合わせて選ぶのが基本的なルールである
・帯締めや帯揚げなどの小物は色を合わせることでコーディネートの幅が大きく広がる
・最初の一式はコーディネートの手間が省けるネットショップのセット販売も便利である
・着物を長く楽しむためには予算だけでなくメンテナンスのしやすさを考慮して選ぶ
着物の世界は、自分に合ったスタイルを見つけることでより深く、楽しくなります。まずは予算や用途に合わせて無理のない範囲で一式を揃え、日本の伝統を感じる第一歩を踏み出してみましょう。お気に入りの装いで出かける喜びは、何物にも代えがたい経験になるはずです。
ご自身の着用シーンや好みの色合いに合わせて、具体的なおすすめショップやコーディネートの例をさらに詳しくお調べしましょうか。


